【10月27日 AFP】米反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は26日、AFPのインタビューに応じ、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)に対する資格停止処分を解除する決定を下した世界反ドーピング機関(WADA)に対するアスリートの信頼は失われたと主張した。

 WADAは先月、RUSADAの資格を回復させて同国選手があらゆる競技大会に復帰できる道を開いた。タイガート会長はこの動きの第一報がもたらされると猛反発し、手加減なしにWADAへの批判を繰り返した。

 タイガート会長はWADAが国際オリンピック委員会(IOC)と緊密すぎる関係にあると示唆し、同機関のシステムに対するアスリートの信頼はもはや「ずたずたの状態」であるとした上で、「プロセスは秘密裏に行われ、裏取引があった。プロセス自体も決定そのものもきな臭い」と述べた。

 この発言にWADAは怒りの反論を展開し、同会長の主張を断固否定するとともに、手続きに関して何らやましいところはなかったと主張し、「プロセスについては、あらゆる局面で方針が示されていた。伝達手段に透明性が保たれていたことは明確であり、決定についても適切な配慮、意見、そして有効なすべての事実に基づいてなされた」とのコメント文を発表した。

「決定に異論があるのは当然のことだが、『裏取引』があったとの指摘は公正さを欠き、単純に真実に反する」

 タイガート会長はインタビューの中で、アスリートは「世界の監視機関が、公の場で公正かつ透明な手段で正しい決断をすることに信頼を置けなくなっている」とすると、「(ロシアの資格回復を許可することの)実利は、ロシアで開催される大会につぎ込まれる金銭にほかならない。陸上競技を除きロシアのアスリートは、ずっと競技に参加できている」とつけ加えた。(c)AFP