【9月13日 AFP】米商工会議所(American Chamber of Commerce)は13日、中国に拠点を置く米企業の多くが米中貿易戦争の激化によりコスト高や利益の減少、当局による監視の強化といった憂き目に遭っていると訴えているとの調査結果を公表した。

 調査は中国で事業を営む米企業430社以上を対象に実施。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が進める貿易戦争が企業に与えている損害について、初めて詳細な内容が明らかとなった形だ。

 米国は今夏、高性能電子部品や工業製品など中国からの輸入品500億ドル(約5兆6000億円)相当に制裁関税を発動。中国はこれを受け、米国の自動車や大豆をはじめとする農産物に同規模の報復関税を課した。

 調査によると、中国で製品を製造・販売している米企業は米国境における高関税と中国政府による報復関税の両面で損害を被り、60%以上の企業が悪影響を受けた。

 また、トランプ氏がほのめかしている中国からの輸入品2000億ドル(約22兆3000億円)相当を対象とした追加関税が発動されれば、損害を被る企業はさらに75%にまで増加するという。

 米商工会議所中国支部のアラン・ビービ(Alan Beebe)会頭は調査結果について、関税がどのような影響を及ぼしているのか、米中政府の当局者に示すものだと強調した。

 企業の回答によると、米企業の約3分の1がサプライチェーンを中国や米国以外の国に移しているほか、同程度の数の企業が設備投資の中止、もしくは延期を決定している。

 また、米企業のおよそ42%が中国人顧客に対して自社製品の訴求力が落ちていると回答。ビービ氏はこれについて、物価の上昇や消費者の購買心理が影響しているかもしれないと指摘している。

 さらに米企業の約半数で売り上げが減少しているほか、同じく企業の半数が生産コストの上昇に懸念を示した。また従業員が犠牲となっているケースもあり、企業の12%が人員削減に踏み切ったという。

 ビービ氏はこうした状況の背景について、調査対象の多くが中小企業だったからかもしれないと説明。大企業は関税の影響に耐え得る力があるものの、「中小企業はその影響を真っ先に受けることになる」と指摘した。

 同会議所のウィリアム・ザリット(William Zarit)氏は、米政府は次の制裁関税で中国が音を上げると考えているようだと前置きしながらも、「だが、その見込みは同じ手段で対応を継続する中国の力を見誤る危険がある」とくぎを刺した。

 そして、半数以上の米企業が中国政府の強い怒りをすでに痛感していると回答。企業の27%が当局による検査が増えたと答え、規制監視が強まったと答えた企業は19%に上った。また、23%の企業が通関手続きが遅くなっていると回答した。

 ザリット氏は米政府の動きについて、「攻撃と反撃という負のスパイラルに陥る危険を冒しており、誰の得にもなっていない」と批判している。(c)AFP/Ryan MCMORROW