【8月23日 AFP】インド南部ケララ(Kerala)州で400人以上の死者が出ている未曾有の洪水で、インド政府は22日、被災地の救援基金に1億ドル(約110億円)を寄付するとのアラブ首長国連邦(UAE)政府の申し出を断った。

 ケララ州のピナライ・ビジャヤン(Pinarayi Vijayan)州首相は、インド政府の支援だけでは足りないとして、UAEが21日に申し出た寄付を受け入れるよう政府に求めていた。

 しかし、インド外務省は「現行方針にのっとり、政府は国内の努力を通じて救援・復興の要求を満たすよう全力を注いでいる」との声明を発表した。同省の説明によれば、海外からの寄付金はインドにルーツを持つ個人・法人を通じてのみ受け付けるという。

 インドはこれまでにもたびたび海外からの災害援助を拒否してきた。2004年のインド洋大津波でも、海外からの援助の申し出を断っている。専門家によれば、いかなる緊急事態も自国で対処できると証明したいインド政府の姿勢の表れだという。

 インドは今回も、特にUAEを名指しして支援を拒否したわけではない。モルディブも洪水への援助を表明しており、政府の声明は「外国政府を含め、複数の救援・復興支援の申し出に深く感謝している」と述べている。しかし、ケララ州側は支援の受け入れを求めていたことから、政府の対応をめぐっては政治的な論争も起きそうだ。

 UAEの申し出た支援金額は、インド政府の約束額を9700万ドル(約108億円)上回る。ビジャヤン州首相は、州内の被害は30億ドル(約3300億円)超に上るとして、政府に3億7500万ドル(約417億円)の一括援助を求めている。

 モンスーンの豪雨に伴う今回の大洪水では、6月以降これまでに420人以上が死亡し、134万人が今も避難生活を送っている。(c)AFP