【8月19日 AFP】少子高齢化に直面している中国の出生率上昇を図るべく、子どもがいなかったり、いても2人未満の場合に「母親基金」への拠出金を支払わせる案を経済学者2人が提言し、ソーシャルメディアで激しい論議を巻き起こした。

 南京大学(Nanjing University)の劉志彪(Liu Zhibiao)教授と張曄(Zhang Ye)教授は17日付の新華日報(Xinhua Daily)で、40歳未満で子どもが2人未満の人々に毎年、基金への拠出を義務付けることを提案。「2人以上子どもができたら基金に支援金を申請し、妊娠期間中の女性や家族の収入減少を穴埋めできる形にする」とした。また、子どもが2人未満の人々には退職時に拠出金を引き出せるとの構想も披露した。

 この提言は中国版ツイッター(Twitter)の「微博(Weibo)」で激しい反発や冷笑を呼んだ。「政府が出産を奨励したいなら、人工授精で五つ子が生まれるようにするか、一夫多妻制を認めてはどうか」との投稿もあった。

 国営中国中央テレビ(CCTV)もネット上で「根拠がなく、非合理的で節操がない」と提言を厳しく批判し、「常識に反する上、研究者のプロ意識の欠如が露呈している」と非難した。

 共産党の下で数十年間「一人っ子政策」を推し進めてきた中国は、家族計画をめぐる政策の抜本的な見直しを迫られている。中国は世界最大の人口を抱えているものの、労働力の高齢化と縮小で経済が鈍化し、男女比の不均衡が社会問題を引き起こす可能性への懸念が高まったことから、人口の若返り策が求められている。

 政府は2016年に子どもを2人まで認める政策に転換したものの、出生率が予想ほど上昇していないため、一段の規制緩和に踏み切るのではないかとの観測が浮上している。(c)AFP