【7月6日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)で膝に重傷を負い、自力でトイレにも行けなくなるという恐ろしい事故に見舞われてから1年が経過する中、ベタニー・マテック・サンズ(Bethanie Mattek-Sands、米国)は同大会が行われているオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)と折り合いをつけた。

 マテック・サンズは昨年、17番コートで行われたソラナ・シルステア(Sorana Cirstea、ルーマニア)との女子シングルス2回戦でボレーの動作に入った直後、芝に足を滑らせて転倒。その際に右の膝蓋骨(しつがいこつ)を脱臼して大声で助けを呼んだ後、コート上で20分間苦痛にあえぎながら取り乱した夫に慰められていた。

 5日に行われた今年の女子ダブルス1回戦で、17番コートではなく5番コートに登場したマテック・サンズは、これまで一緒に四大大会(グランドスラム)のタイトルを手にしてきた親友のルーシー・サファロバ(Lucie Safarova、チェコ)とともに勝利を収めると、「先週、前もってここに来て、17番コートに行ったのです」と明かした。

「感情を吐き出す必要がありました。それは避けたくなかったことで、自分の心に悲しみや怒りを感じるスペースを与えたかったのです。それで気分が良くなりました。私の膝と17番コートが再び話せるようになってうれしい。互いに前よりもずっと関係が良くなりました」

 マテック・サンズはサファロバとのペアで、大会第16シードのリュドミラ・キチェノク(Ludmyla Kichenok、ウクライナ)/アラ・クドリャフツェワ(Alla Kudryavtseva、ロシア)組に7-6(8-6)、7-5でストレート勝ちを収めて2回戦に進出すると、「感慨深いものがありましたが、以前のように戦えました。あれから12か月も過ぎたという気がしません」とコメントした。

「グラス(芝)コートに戻って来て、『親友』と勝てたのは本当に特別なこと。絶好調でプレーできました。これが復帰の始まりとか終わりとか、そういうことにしたくありません」

 サファロバ/マテック・サンズ組は、2015年に全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2015)と全仏オープンテニス(French Open 2015)、2016年に全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)、そして2017年には再び全豪と全仏を制しており、四大大会(グランドスラム)全制覇を達成するためにはウィンブルドンでのタイトルが必要となっている。

 ウィンブルドンの大会主催者から再び17番コートでプレーするように言われることは絶対にあり得ない中、マテック・サンズは「あのコートにならないようにリクエストするつもりですが、その理由を説明する必要はないでしょう」と話した。(c)AFP/Dave JAMES