【6月19日 AFP】バイオテクノロジーの分野で成功した医師で富豪実業家のパトリック・スンシオン(Patrick Soon-Shiong)氏が18日、米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)を買収し、編集長に著名ジャーナリストのノーマン・パールスティーン(Norman Pearlstine)氏(75)を指名した。

 ロサンゼルス・タイムズは米国の主要日刊紙の一つだったが、近年はデジタル化時代がもたらした経営難と編集部の混乱で経営不振に陥っていた。

 スンシオン氏は米メディア企業のトロンク(Tronc)から同紙を5億ドル(約550億円)で買収し、9000万ドル(約99億円)の年金債務を引き受けることに合意した。読者に向けたメッセージでスンシオン氏は「本日からわれわれは(ロサンゼルス・タイムズ紙の)独立系ジャーナリズムとしての豊かな歴史を守り、さらに切迫感と目的意識を持って実績を積み上げていく重要な任務を開始する」と述べた。

 スンシオン氏のオーナーとしての初仕事は、ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)、米出版大手タイム(Time)発行の諸雑誌、ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)などで50年のキャリアを積んだパールスティーン氏を編集長に迎えることだった。

 外科医のスンシオン氏はバイオテクノロジー企業への投資で75億ドル(約8300億円)の資産を築き、今年に入っていずれもカリフォルニア・ニュースグループ(California News Group)の下で運営されていたロサンゼルス・タイムズと地方紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューン(San Diego Union-Tribune)を買収することで合意に至っていた。

 経営難に苦しむ米都市部の新聞を立て直そうとする富豪実業家にはスンシオン氏の他、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)を買収したインターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO)や、有力地方紙ボストン・グローブ(Boston Globe)を買収した投資家ジョン・ヘンリー(John Henry)氏がいる。(c)AFP