【6月19日 東方新報】中国には、「プロの物ごい」が存在する。

「最近の物ごいは、ITも駆使する。こちらが小銭を持っていなくても、QRコードを示してくる」

 中国・安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)に住む陳さんは、午前8時ごろに地下鉄に乗った。途中、別の車両から若者が来て、乗客一人ずつに金を求め始めた。

 若者が目の前に来た時、陳さんは、「小銭がない」と断ったが、若者はQRコードが印刷された紙を取り出し、目で「QRコードでどうぞ」と訴えているようだった。若者は身なりもきちんとしていたため、陳さんはQRコードの使用も拒否した。すると若者は、持っていたペンで陳さんの手の甲を思い切り刺し、悠々と去っていった。「本当に異常だよ。物ごいがITを駆使している上に、拒否したら報復されるなんて」

 QRコードの画面を提示している別の人物に遭遇した人もいる。小さな子どもが、支付宝(アリペイ、Alipay)と微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)両方のQRコードを掲げながら物ごいをしているのを見たという市民もいた。

 駅や列車、出入り口や通路での物ごい行為やパフォーマンス、募金、宣伝などの行為は、市の条例で禁止されている。

 鉄道会社関係者は、「地下鉄に『プロの物ごい』が出没することは把握しているが、乗客の中から物ごいを探すのは難しい。彼らの調査能力は高く、構内には変装して入り、列車が駅に着くと物ごい行為を止めるからだ。また、QRコードをスキャンする場合、一定のリスクも存在する。勇気を持って断ってほしい。もしも見つけた場合には係員に通報を」と話している。(c)東方新報/AFPBB News