【5月29日 AFP】フランス首都パリで、マリ出身の移民マムドゥ・ガサマ(Mamoudou Gassama)さん(22)が宙づりになっていた幼児を救出したことを受け、子どもの家族が感謝の意を示した。その一方、「スパイダーマン(Spiderman)」さながらの救出劇で世界中から称賛されたガサマさんは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が約束した市民権付与の第一段階として29日、滞在許可証が与えられた。

 ガサマさんは26日、建物5階のベランダからぶら下がっていた4歳児を地上からよじ登って救出した。

 捜査当局によると、救出された子どもは当時、父親と2人で暮らしており、父親は子どもを一人残して買い物に出かけ、そのまま道路上でスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(Pokemon Go)」で遊んでいたという。

 その一方、この父親の生まれ故郷である仏領レユニオン(Reunion)島に現在も暮らす子どもの母親は、ニュースで子どもの救出劇を知ったという。

 名前が公表されていない母親の女性は28日午後、地元ラジオ局に対し、「ガサマさんに感謝し、彼がとても俊敏に対応してくれたことを感謝することしかできません」とコメントした。

 母親によると、警察から電話でこのニュースを伝えられ、「それからインターネットで動画を見ました。動画に映っているのは実の息子と知っていたのだから、動画をみるべきではありませんでした」と話した。

 この出来事のたった30分前には、父子とビデオ通話をしていたという。

 さらに母親は、「もっとひどい状況に陥っていたかもしれないから、ほっとしています」と話し、息子および夫と再会することを心待ちにしていると明かした。

 仏テレビ局BFMによれば、母親は1歳になる2番目の子どもを連れて、6月にパリへ引っ越す計画だったが、予定を変更して29日にフランスへ向かうことにしたという。

 一方で父親は、保護者としての責務を怠った疑いで逮捕され、警察の取り調べを受けていたものの釈放され、28日に社会福祉当局の監視下で息子との再会を果たした。

 母親によると、30代だという夫はこの出来事に「動揺」しているという。

 その一方、昨年9月以降、同国に違法滞在していたガサマさんは29日、地元当局から滞在許可証を受け取った後、パリの消防局でインターンシップに参加する契約書に署名した。(c)AFP/Clare BYRNE