■「戦闘機や戦車が攻撃(準備)を始めた」

 イスラエルとの衝突でパレスチナの人々は次々と倒れていったが、それでもデモの参加者らはフェンスをめがけて進んでいった。

 ラビア・カワジャさん(20)は、「私たちは、境界線を越える試みを続ける」とAFPに語った。

 フェンスを突破するという目下の目的は果たせなかったものの、ガザの住民200万人の苦しみや米大使館移転に対するパレスチナ人たちの拒絶を世界に向けて発信するという、より大きな目標は達成された。

 この衝突を受けて南アフリカは、イスラエル駐在の自国大使を帰国させて抗議の意を示した。またクウェートも国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会合を15日に開くよう要請し、イスラエルを非難している。

 シファ病院では、ベッドの数も足りていない。両脚を負傷して病院に搬送されたモハメド・メクダドさんは、救急治療室の外に設置された簡易テントで治療を受けたが、その治療は薄いガーゼで辛うじて止血する程度だった。

 テントの外では、母娘が目に涙を一杯にためて立ち尽くしていた。「息子が脚にけがをしたと言われたが、みつからない。もしかしたら死んでしまったのに、そう言わないだけなのかもしれない」と母親は語った。

 午後になると、テントにはより多くの負傷者が搬送された。医師らはスペースの不足を理由に人々を家へと帰した。

 夕方が近づくと、イスラエルによる銃撃計画があるとのうわさが飛び交った。そして、境界線付近から離れるようよびかける音声が拡声器を通じて流された。デモはこれを境に収束していった。

 カワジャさんは、「戦闘機や戦車が攻撃(準備)を始めたのを見て、私たちは撤退した」とAFPの取材に明らかにした。(c)AFP/Mai Yaghi and Adel Zaanoun