【5月15日 AFP】サッカーブラジル代表のチッチ(Adenor Leonardo Bacchi aka Tite)監督は14日、2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)に向けた登録メンバー23人を発表。けがで今年2月からプレーしていないネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)も名を連ねており、同指揮官は大会制覇に向けて手応えを示した。

 W杯史上最多となる通算6度目の優勝を目指すブラジルのチッチ監督は、同国リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で行われた代表メンバーの発表会で、「ブラジルはサッカー界に君臨する強豪国の一つとして不動の地位を築いている」とすると、チームの武器は「高い攻撃力と得点力」であり、「傲慢(ごうまん)になっているのではなく、事実を話している」と述べた。

 そのブラジル代表にとって、重要なカギを握っているのはネイマールの完全復帰とみられる。同選手は所属するフランス・リーグ1、パリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)の試合中に足を骨折して手術に踏み切り、最近になってトレーニングに戻ったばかりとなっている。

 チーム医師のロドリゴ・ラズマール(Rodrigo Lasmar)氏は、ネイマールの骨は期待通りの「素晴らしい回復」をみせており、国際親善試合として来月3日に行われるクロアチア戦と同10日のオーストリア戦までには「試合に出場できる体力を取り戻せる」はずだとしている。

 昨夏に史上最高額の移籍金2億2200万ユーロ(約295億円)でスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)からPSGに加入したネイマールが大会でその実力を示すことを命題に掲げているチッチ監督は、「ネイマールがいることで、より強いチームになれる。彼は世界で3本の指に入る選手だが、調子をピークに合わせるためには周りに堅実なチームが必要だ」と話した。

 ブラジル代表では先日、右サイドバックの要であるダニエウ・アウベス(Daniel Alves)をけがで失うという打撃に見舞われた。そのなかで今回の代表メンバーには、その穴を十分に埋める戦力として、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)でプレーするダニーロ(Danilo Luiz da Silva)や、チッチ監督の下で2015年にカンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部を制したコリンチャンス(Corinthians)のファグネル(Fagner)が選出された。

 ファグネルも現在故障を抱えているものの、医師はW杯でのプレーに問題はないとしている。チッチ監督はアウベスの「頼もしい度胸と模範的な勇気」を称賛する一方で、不在の選手に対する失望感は取り除いでおかなければならないと強調し、「いない人間のことを嘆いてはいられない。準備に集中しなければ」と話した。

 W杯南米予選でライバルチームを蹴散らし、大会の優勝候補筆頭に挙げられているセレソン(Selecao、ブラジル代表の愛称)は、過去数十年間にわたり味わってきた勝利の法則を取り戻しつつある。ブラジルは前回の2014年大会準決勝でドイツに1-7の大敗を喫し、チーム状況は一時どん底まで落ち込んでいた。

 ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領は、6月17日にスイスとの初戦を迎える代表チームへの支援をツイッター(Twitter)で表明し、「ロシアの主催者と友人に敬意を表しつつ、はばかりながらトロフィーを持ち帰らせていただく」とつづった。