【6月3日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)の開幕を控え、メキシコ中心部の町ヒウテペック(Jiutepec)にある「Grupo Rev」社の工場では、ネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)、リオネル・メッシ(Lionel Messi)、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)らスター選手に生き写しのゴムマスクが大量生産されている。

 サッカーのドリームチームとしてゴムマスクが製造されているのは、伝説的選手のペレ(Pele)氏、ディエゴ・マラドーナ(Diego aradona)氏、ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)氏のほか、現役のスター選手であるルイス・スアレス(Luis Suarez)、ズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimovic)、フランク・リベリ(Franck Ribery)、「チチャリート(Chicharito)」ことハビエル・エルナンデス(Javier Hernandez)、イルビング・ロサノ(Hirving Lozano)、そしてホルヘ・カンポス(Jorge Campos)氏を含めた計12人となっている。

 同社の役員を務めているディエゴ・エスポンダ(Diego Esponda)氏は、工場のデザインスタジオでAFPの取材に応じ、「W杯を観戦する予定の人たちからマスクの注文が殺到しています。メキシコのファンはいつも大勢で有名選手のマスクをかぶって注目を集めます。とにかく目立つために、これらのマスクは必需品なのだと思います」と語った。

 独自のドリームチームを選出するために、同社ではW杯さながらの「予選ラウンド」を開催して最初の候補を20人まで絞ったという。エスポンダ氏はまた、人気の高い有名選手を決める際には家族や友人に相談したと明かし、「最も注文があるのはメッシとロナウドです。メキシコではチチャリートも高い需要がありますね」と話した。

 小売価格で各13ドル(約1400円)程度で売られるゴムマスクは、スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)に所属するメッシとレアル・マドリード(Real Madrid)所属のロナウドのものが最初の製造分で1000枚ずつ用意され、すでにほとんどが売り切れているという。ほかのサッカー選手は各200~500枚で、合計6000枚が作られている。

 マスクはほとんどがスタッフの手作業となっており、最初に粘土で顔を彫刻したあと、その周りを石こうで固めて型を作る。そして、型の中に生地となるラテックスを流し込み、でき上がったゴムマスクに手でペイントする。エスポンダ氏によると「機械作業に関してはほんのわずかで、プロセスの15パーセント程度」とされている。

 完成したマスクはほとんどがメキシコ市場で売られるものの、ほかにもスペイン、フランス、スウェーデン、そして米国からも発注があるという。昨年は100万枚のマスクを製造したこの会社では、今年7月1日のメキシコ大統領選を控え、同国の政治家にそっくりなゴムマスクが売られている。(c)AFP