■リストに載っているのは誰か?

 このファイルには、ほぼすべての社会的・職業的カテゴリーに属する人々が掲載されているが、その多数はフランスの都市周辺で移民共同体が集中する郊外出身の若い男性たちだ。そうした低所得層の移民共同体では、イスラム教国の出身者も多数を占めている。

 フランスの治安機関にとっての問題は、過去4年間に国内で起きた襲撃事件の実行犯のほとんどについて、治安機関が注意を喚起していなかったということだ。

 仏テロリズム分析センター(CAT)のジャンシャルル・ブリサール(Jean-Charles Brisard)氏は、フランスで2014年以降に起きた攻撃の60%は、ファイルに載っていない人物によるものだったと指摘する。

■容疑者はどのように追跡されているか?

 仏治安機関はこの過激派容疑者リストを管理し、掲載人物を各々の脅威の大きさによってランク付けしている。リストの上位に掲載されている人物は、より厳しい監視下に置かれ、何らかの行動を考えている兆候が少しでもみられれば事情聴取される。

 だが治安問題の専門家によると、フランスでは過激派と疑われる人物全員を24時間監視する要員に不足している。容疑者1人を終日追跡するには約20人の警官が必要だという。そのためリスクが高いとみなされた人物の追跡でも、電話やインターネットの傍受に頼らざるを得ないのが現状だ。(c)AFP/Gregory DANEL