【3月30日 AFP】フランスの裁判所は29日、イスラム過激派による銃撃・立てこもり事件で食肉業者の男性が殺害されたことをめぐって「正義があった」とSNSに書き込んだビーガン(完全菜食主義)の女性活動家に対し、テロリズム擁護の罪で執行猶予付きの禁錮刑判決を下した。司法筋が明らかにした。

 フランスでは先週、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓っていたとされるラドワン・ラクディム(Radouane Lakdim)容疑者が仏南部で車を強奪した後、人質を取ってスーパーに立てこもる事件が発生し、合わせて4人が死亡している。

 この事件をめぐり警察は、スーパー「シュペルU(Super U)」で食肉販売業者のクリスチャン・メドベ(Christian Medves)さんが殺害されたことについて、「これっぽっちも同情しない。そこには正義があった」との書き込みをフェイスブック(Facebook)上で発見した。ビーガンチーズの製造を営む動物保護活動家が26日に投稿したものだった。

 国を挙げて犠牲者4人を追悼する中でのこのコメントは激しい怒りを招き、活動家は投稿を削除したが、検察当局は厳格な反テロ治安法に基づきテロ擁護罪で訴追。29日、南西部サン・ゴーダンス(Saint-Gaudens)の裁判所は活動家に対し、執行猶予付き禁錮7月の判決を言い渡した。

 地元紙デペシュ・ドゥ・ミディ(Depeche du Midi)の報道によると、被告の活動家は問題の投稿について、もともと一般に公開したつもりはなく閲覧できるのは友人だけだと思っていたと主張。投稿から2時間以内に削除したと述べている。

 フランスではテロを擁護したり好意的に評価したりする行為は訴追の対象となっており、インターネット上での書き込み等には最長7年の禁錮刑と最大10万ユーロ(約1300万円)の罰金が科される恐れがある。

 今回の銃撃・立てこもり事件では、人質の身代わりになった警察官の死を喜ぶようなコメントをツイッター(Twitter)に投稿した極左政党の国会議員候補が逮捕され、27日に執行猶予付き禁錮1年の有罪判決を受けている。(c)AFP