【3月28日 東方新報】中国西部の一部のウォルマート(WalMart)店舗で、アリペイ(Alipay)による支払いができなくなっている。

 顧客によると、一部の店舗がアリペイの使用を停止し、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)のみ受け付けているという。

 ウォルマート側は、「ビジネス上の決定」だと説明している。消費者の利益に損害を与える懸念があるが、業界関係者は「ウォルマートはテンセント(Tencent)系列であるため、競合関係から見ても自然な決定だ」と話し、小売業界だけでなく、シェア自転車や配車サービスなどのモバイル決済でも、アリババ(Alibaba)とテンセントの闘いが繰り広げられていると指摘する。

 各地の消費者からは、ウォルマートで「システム更新」や「協業停止」などの理由でアリペイが使用できなくなっていると報告が相次いでいる。「いつもアリペイを使っているから、ウィーチャットペイにお金が入っていない。レジで突然アリペイが使えないと言われ、その場でアリペイからウィーチャットペイにお金を移して使うしかなかった」「今は外出の際にスマホしか持たない。支払い方法が選べないなんて不便だ」といった不満の声が上がっている。

 湖南省(Hunan)の消費者によると、中国の小売大手の「歩歩高(Better Life Group)」の店舗でもアリペイが使えなくなっている。歩歩高は今年2月にテンセントと京東(JD.com)と戦略提携を結んでいる。

 中国不良資産業界聯盟の盘和林(Pan Helin)チーフエコノミストは、「今回のウォルマートの決定は、消費者が支払い方法を自由に選ぶ権益に損害を与えている。モバイル決済の利便性にとってもマイナスだ。また大きな力を持つ企業が自身の利益のために取引条件に制限をかけることは、市場経済での自由な取引を妨げている」と話した。(c)東方新報/AFPBB News