【3月9日 AFP】インターネット上の虚偽情報は、事実よりも速く拡散するとの研究結果が8日、発表された。だが、一般に考えられているのとは反対に、偽の情報を拡散するのは大半が人間で、ボット(自動プログラム)ではないという。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された、この種のものとしてはこれまでで最大規模となる今回の研究では、2006年~2017年にツイッター(Twitter)上で発生した情報の連鎖・拡散現象約12万6000件を調査した。 

 情報の真偽を調べるために、研究チームは6か所の独立ファクトチェック(事実検証)機関を利用した。大きな物議を醸したこうした情報は、300万人によって450万回以上ツイートされた。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが主導した論文は、「虚偽の情報がリツイートされる確率は、真実のものより70%高かった」と指摘。「真実の情報が1500人に拡散するのに要する時間は、虚偽のものが同じ人数に拡散する時間より約6倍長い」と説明した。

 この問題に関する過去の研究は、ケーススタディーやサンプル数が少ないものに限られていた。

 作り話の方が速く拡散するのはその「目新しさ」に関係していると研究チームは説明する。人々が偽ニュースを共有する理由は、それらが本物のニュースよりも意外性が高いためとの考え方だ。

 論文によると、偽の情報は通常、驚き、不安、嫌悪感などをあらわにするリプライをツイッター上で触発するという。一報で、事実の情報は悲しみ、期待、喜び、信用などの反応を引き出す傾向がみられた。

 さらに今回の研究によると、ツイッター上では虚偽の情報が増えているとされ、2012年と2016年の米大統領選挙など、大きなイベントの最中に急増する傾向があることも見て取れたという。

 他方で、偽情報拡散の加害者らについては、莫大(ばくだい)な数のフォロワーを得ているユーザーではない傾向があることも分かった。論文によると、偽ニュースを拡散させる人々は「フォロワー数とフォローしている人の数が著しく少なく、ツイッター上の活動もかなり不活発。『認証済み』である場合もまれで、ツイッター上での活動期間も有意に短い」という。

 ツイッターは2月末、ソーシャルネットワーク上のボットの影響を抑えることを目的とする新規則を発表したばかり。(c)AFP