【2月8日 AFP】マリッサ・ブラント(Marissa Brandt)とハンナ・ブラント(Hannah Brandt)姉妹は、数千キロも離れた場所で生まれながらも一緒に育ち、スケートを滑り、学校に通った。しかし、平昌冬季五輪では、別々の国を代表してアイスホッケー女子に出場する。

 韓国で生まれた姉のマリッサは、養子輸出大国として知られていた同国で工業化が急速に進められていく中、海外で新しい家族を探す大勢の子どもたちの一人として、生後4か月で米ミネソタ州の父グレッグ(Greg)さんと母ロビン(Robin)さんのブラント家に引き取られた。妹のハンナは、その数か月後に夫妻の間に生まれた。

 冬には湖が凍るミネソタ州では、少女らはスケートをしながら育つのが一般的で、2人もアイスホッケーの代表チーム入りを果たした。しかし、フォワードのハンナが平昌五輪で米国代表としてプレーする一方で、ディフェンダーのマリッサは韓国が代表チームを強化するために選手のリクルートを進める中で同国の国籍を回復し、生まれ故郷の選手としてプレーすることになった。

 この家族の物語には、アイデンティティーや人種の違いに加え、スポーツではライバルとなる国同士の養子縁組という要素が絡んでいる。アジア系の少女として米国の家庭で育ったマリッサは、肌の色は気にせず、ブロンドで色白のハンナと張り合っていたといい、「環境になじみ、妹と区別されないようにしたいと思っていました」と話した。