【2月4日 AFP】イタリア中部マチェラータ(Macerata)で3日午前、スキンヘッドの極右主義者の男が車内から相次ぎ発砲し、アフリカ出身者ばかり6人が重軽傷を負う事件があった。男はすでに逮捕された。

 報道によれば、男は襲撃後に車を降り、イタリア国旗を肩に掛けてファシスト式の敬礼をしながら、「ビバ イタリア(イタリア万歳)」「イタリアはイタリア人のものだ」と叫んだ。

 イタリアのAGI通信によると、負傷者は男性5人と女性1人で、出身国はガーナ、マリ、ナイジェリア。

 男は2時間に及ぶ犯行の間に人口約4万3000人の活気のない町マチェラータの8か所で発砲したほか、中道左派政党の民主党(PD)の事務所も標的にしたと報じられている。

 警察はツイッター(Twitter)で、負傷者が全員外国籍であることを確認し、「容疑者とみられる人物はイタリア人だ」と発表した。

 報道によれば、被害者のうち1人は胸を撃たれ重傷を負った。残る5人のけがは比較的軽いという。通りでたばこを買っていた時に大腿(だいたい)部を撃たれたナイジェリア人の男性は、病院のベッドからテレビの取材に対し、痛みがひどく「とても深刻だ」と語った。

 テレビの映像によると、男は市内の戦争記念施設で逮捕された。警察も逮捕の模様の写真を公開した。

 当局によると逮捕されたのはルカ・トライーニ(Luca Traini)容疑者(28)。移民規制の強化などを掲げる右派政党「北部同盟(Northern League)」のメンバーで、昨年の地方選で立候補していた。報道によると、警察は容疑者が乗っていた黒いアルファロメオ(Alfa Romeo)車から拳銃1丁を発見した。

 イタリアでは先週、スーツケースに詰められた18歳のイタリア人女性の切断遺体が発見され、ナイジェリア出身の難民申請者で麻薬密売人の男(29)が2日にマチェラータで逮捕されたばかりだった。警察は男の自宅で殺害された女性の衣服と血の付いたナイフを発見した。しかし、この事件と3日の事件との関連について当局は明らかにしていない。

 マルコ・ミンニーティ(Marco Minniti)内相は、今回の銃撃事件について「人種的な憎悪」が原因であると述べ、「ファシズムやナチズムとはっきりとした関係がある極右主義」の文化の一部であると指摘し、被害者の共通点は「肌の色」だけだと述べた。(c)AFP/Marc-Henri Maisonhaute with Catherine Marciano in Rome