■フレキシブルな核の選択肢

 新たな戦略は、オバマ氏が命じた核の近代化計画の継続を訴えているが、小型核兵器開発強化の要請を含め、複数の顕著な変更点がある。

「戦略的」核兵器としても知られる小型核兵器は極めて強力で、第2次世界大戦(World War II)末期に広島と長崎に投下された爆弾と同様の破壊力を持たせることができる。

 通常の大型兵器をめぐっては、基本的に大きすぎるため実用的ではないとの懸念が政策立案者たちから挙がっている。もし使用すれば敵から大規模な報復を受ける可能性があり、また大勢の人々が地図上から消えてしまう可能性がある。

 これに対して米国防総省は、より小型の核兵器をさらに保有することにより、米国が小型爆弾を使って他国に反撃することはないだろうという敵の誤った確信を裏切ることができると主張。草案には「小型化を含めて今、米国がフレキシブルな核の選択肢を広げることは、局地的な攻撃に対する信頼できる抑止力の確保にとって重要だ」と記載されている。

 核拡散に反対する米首都ワシントンの無党派シンクタンク、スティムソンセンター(Stimson Center)の共同創設者であるバリー・ブレッチマン(Barry Blechman)氏は、AFPに宛てた声明で「核の信奉者たちの間では、兵器には兵器を、核威力には核威力をといった具合に、米国は敵の攻撃力に合わせる必要があると主張する」と述べる。「こうした見解に経験的根拠はないが、(トランプ政権で)役職についた民間人の間で広く浸透している考えだ」という。