【1月20日 AFP】乗馬やアーチェリーは最高に調子が良いときでも難しいものだが、イスラム教徒の女性が着る全身を覆う衣装「ニカブ」を着用しているときはなおさら難しい。

 しかしインドネシア女性のグループ「ニカブ隊(Niqab Squad)」がひるむことはない。ニカブは宗教の自由と女性の権利をめぐる白熱した世界的論争の焦点になってきた。ニカブ隊はニカブへの偏見と闘うべく結成されたグループだ。

 メンバーが一緒にコーランを朗唱するほか、最近の集まりでは乗馬やアーチェリーなどのイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)が推奨した活動をしている。

 メンバーの一人、ジャナリアさん(19)は乗馬未経験者だったが、今では黒いベールをなびかせながら馬を操っている。他の初心者のメンバーは矢尻の部分に吸盤が付いたアーチェリーに挑戦している。

 ジャナリアさんは「それほど難しくはない」と言う。首都ジャカルタの灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、多くのインドネシア人と同じように名字がないジャナリアさんはクスッと笑いながら、コース内で馬を操る。「走るのも大丈夫。慣れれば快適よ。一番大事なことはニカブを足かせと思わないこと。我慢しなきゃ」

 わずかに開いている目の部分を除いて全身を覆うニカブは非常に保守的なサウジアラビアなどの湾岸諸国では一般的だがインドネシアでは珍しく、国の規則で学校の制服に採用してはならないことになっている。最近も教室でニカブを着用していた女子生徒らの写真がインターネットで拡散したジャワ島のイスラム教私立高校が地元当局から処分を受けた。

 2016年にヒジャブ(髪と耳、首を覆うが顔は見えるヘッドスカーフ)をやめてニカブを着るようになった30代半ばのインダダリ・ミンドラヤンティ(Indadari Mindrayanti)さんは、差別を受けている女性たちをネットで探しだして2017年にニカブ隊を発足させた。