【12月29日 AFP】タイの移民警察は28日、首都バンコクの空港にジンバブエ人の家族が2か月にわたって滞留していることを明らかにした。ホリデーシーズンに当たるこの時期に空港から出られない一家に対し、タイ国民の間では同情が広がっている。

 一家は大人4人、2歳から11歳の子ども4人で、今年10月以来、タイから出国しようとしているものの、行き先のビザがなく、ジンバブエへの帰国は拒否し、長期滞在が原因でタイへの再入国も却下され、空港の搭乗エリアで身動きが取れない状態だという。

 タイのある市民が、一家の子どもたちにクリスマスプレゼントを手渡す様子を撮影した自身の写真をフェイスブック(Facebook)に投稿。その後拡散し、家族の苦境が明るみに出た。

 タイ国民の間には一家がどうやって食いつないでいるのかとの疑問が湧き上がったが、食事は航空会社が提供しているという。

 移民警察によると一家は今年5月、旅行ビザでタイに入国。10月23日にウクライナ経由でスペインへ向かおうと試みたが、渡航先のビザがないとの理由で航空会社に搭乗を拒否された。

 一方、数か月間タイで過ごしたことから、滞在期限を超過し、同国への再入国も認められなかった。

 さらに、当局によれば一家はジンバブエ情勢が不安定であり、身の安全への懸念があるとの理由で、同国への送還も拒絶した。

 タイは公式には難民を受け入れていないため、一家はタイ以外での定住を求めて亡命申請を行っているという。(c)AFP