【12月20日 AFP】アジアの困難もしくは危険な状況下で優れた取材活動を行ったジャーナリストにフランス通信(AFP)が贈る2017年度の「ケイト・ウェブ賞(Kate Webb Prize)」が、母国ミャンマーの紛争について報道した記者ムラット・チョー・トゥ(Mratt Kyaw Thu)氏(27)に贈られた。

 同氏は、2016年にミャンマー北東部シャン(Shan)州と西部ラカイン(Rakhine)州で発生した民族および宗教間の紛争に関する記事が評価された。ラカイン州での紛争は、後に約65万人ものイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が避難する事態となった。

 チョー・トゥ氏の記事はミャンマーの英字ニュース週刊誌「フロンティア(Frontier)」に掲載された。同国では昨年に文民政権が発足したものの報道の自由の抑圧が悪化していると人権活動団体は指摘しているが、同誌は独立した報道で評価されている。

 AFPのアジア・パシフィック地域ディレクターのフィリップ・マソネ(Philippe Massonnet)氏は、「ケイト・ウェブ賞を2008年の創設以降初めてミャンマーのジャーナリストが受賞することを非常にうれしく思う」と述べた。

 ケイト・ウェブ賞は、アフガニスタンを含めた戦争や紛争多発地帯の取材を続け、2007年に64歳で死去したAFPの元特派員ケイト・ウェブの功績を称え創設された。AFPとウェブ氏の遺族によって運営されている。

 受賞者には3000ユーロ(約40万円)が贈られ、授賞式は来年にミャンマーのヤンゴン(Yangon)で行われる予定。

 昨年は、アフガニスタンの独立系テレビ局トロ(Tolo)が受賞した。(c)AFP