【12月15日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)で開催された世界インターネット会議(World Internet Conference)烏鎮サミットのうち、「利益の分配:インターネットを活用した貧困削減」フォーラムが4日行われ、国内外の政府、国際機関、企業の代表と「深刻な貧困」状態にあるとされる13地区の代表が出席し、どのように貧富の差を埋め、貧困問題を解決するかについて意見交換を行った。

 中国は世界最大の発展途上国であり、貧困人口の規模も大きい。貧困削減は長期的で巨大な使命だ。国内の貧困削減のために設置された中国国務院・扶貧開発領導小組弁公室の劉永富(Liu Yongfu)主任は、この5年間で効果のみられた貧困削減に関する取り組みや成果を紹介。国が指定する28の貧困県に対し、インフラと公共サービス施設の建設を進めたほか、政府幹部を駐在させて現地の人材育成に力を入れたと紹介。1年あたり1300万人という前例を見ない速さで、これまでに6000万人以上が貧困から抜け出したという。

 中国国家インターネット情報弁公室の任賢良(Ren Xianliang)副主任は、「中国の貧困削減は依然として困難を極めており、2016年年末の時点で国内にはまだ4300万人以上の貧困層が存在していた。ほとんどは地理的条件が悪く、経済基盤が弱い深刻な貧困地区に住む人々である」と述べた。

 こうした状況に対し、中国情報通信研究院の王志勤(Wang Zhiqin)副院長は、貧困地区に住む人たちのインターネット教育の必要性を指摘。「インターネットのためのインフラを整え、使い方を覚えてもらうことから始める。使いこなせなくては意味がない。そのため現地の人たちへのインターネット教育が必要だ」と話した。

 「中国は一部の人が先に裕福になったが、まだ何千万人もの人たちが日々の生活にも困窮している。これは富裕層の恥である。援助の大きさや金額は関係ない。すべての企業が共に行動を起こして協力し合い、2020年には完全に中国人の貧困削減を実現し、さらにその5年後にはかつて貧困層だった人たちが裕福な暮らしができるようにしよう」。中国のEコマース大手「京東(JD.com)」の劉強東(Richard Liu)会長兼CEOは、こう呼びかけた。

 国連食糧農業機関(FAO)IT事業部のサミュエル・バラス・ゲバラ(Samuel Varas Guevara)主任は、世界中で中国の人工知能(AI)やビッグデータについての成功例が共有されている現状を挙げ、貧困削減の実現を訴えた。

 フォーラムの最後には、「IT企業と深刻な貧困地区が協力してインターネットにより貧困削減を図る」事業の契約を結ぶ式典が行われ、18企業・機関が13の深刻な貧困県と契約を結んだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News