【12月11日 東方新報】中国エクストリームスポーツ(Extreme Sports)の有名人で、自称「第一人者」の呉永寧(Wu Yongning)さんが8日、湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)のビルで単独で「極限」に挑戦中に転落、死亡しているのが見つかった。

 呉さんは2017年2月から、高所で極限に挑戦するエクストリームスポーツと呼ばれる動画をインターネットにアップしていた。高層ビルの端でセグウェイに乗ったり、ビルのてっぺんにつかまって懸垂をしたり……。悲劇が起こる少し前、呉さんは恋人との結婚の日取りを決めたばかりで、恋人は呉さんにエクストリームスポーツをやめるように説得していたが、呉さんは「いつかけがして動けなくなるか、死ぬまで続ける」と話していたという。

 インターネットの発展に伴い、危険な「スポーツ」が散見されるようになった。エクストリームスポーツは海外で火が付き、中国でも流行し始めている。しかし、ある専門家によると、呉さんの行動は中国エクストリームスポーツ協会(Chinese Extreme Sports AssociationCESA)が定めている範囲を超えており、「正常なエクストリームスポーツは一種の流行のスポーツで、娯楽と文化的要素を強調している。特殊な訓練を受ける必要があり、特殊な場所での挑戦は、チームを組んで安全が担保された状態で行う必要がある」としている。しかも、少人数で個人的な運動となれば、海外でも完全に「自由」ではなくなる。「スパイダーマン」として知られるフランス人フリークライマーのアラン・ロベール(Alain Robert)氏は無許可で高層ビルに登るなどして何度も罰金を課されている。

 呉さんは以前、映画やテレビなどのエキストラの仕事をしていたが、成功することは難しかった。だが、高所で極限に挑戦する動画をアップロードしたあと、動画を見た人からの多くの賞賛や驚きの声と共に、視聴者から動画に贈られたた計130元(約2227円)の収入を得た。この頃から、呉さんは頻繁にエクストリームスポーツの動画を更新するようになった。父親を早くに亡くした呉さんは、母親の病気の治療ために動画でお金を稼ごうと、周囲が止めるのも聞かなくなっていったという。

 呉さんの身に起こった悲劇は、エクストリームスポーツ愛好家を始めとするインターネットユーザーに対する警鐘となるだろう。アクセス数や名声ばかりを追求する危険な行為はどんどんエスカレートし、命の危険にもつながるということを忘れてはならない。(c)東方新報/AFPBB News