【12月5日 AFP】英国と欧州連合(EU)は4日、ベルギーの首都ブリュッセルで英国のEU離脱協議を行った。しかしアイルランドの国境問題をめぐって議論がまとまらず、決着には至らなかった。ただ双方はいずれも、今週中に合意できると確信しているという見方を示した。

 テリーザ・メイ(Theresa May)英首相と欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は、将来の国境管理協定をめぐるアイルランドの懸念の緩和に向けては、打開策を見出したとみられる。

 アイルランドは英国のEU離脱により、「厳格な国境管理」の復活が強いられたり、何十年にもわたった宗派間の緊張を終結させた和平プロセスが脅かされたりする事態が生じないよう、配慮を訴えている。これに応じるため英国側は、EUの税関および単一市場の規則の北アイルランドへの適用維持の方針を示していた。

 しかしメイ氏率いる保守政権は議会で単独過半数を確保できておらず、北アイルランドの英統治を望むユニオニスト政党と連立。そういった条件は、ユニオニストからの強い反発でいずれもほごにされ、アイルランド首相はこの展開を「驚きであり失望をもたらすもの」と批判している。

 EU側は、今月15日の首脳会議で通商・移行交渉を開始するためには、アイルランド問題に加え、英国が支払う清算金、在英のEU加盟国出身者らの権利保障といった、英離脱をめぐる主要な懸案事項で英側が十分な進展を示さなければならないと主張している。

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)は先に、4日を通商交渉開始に向けた「絶対期限」と位置付けていたが、「今や時間が非常に限られてきてはいるが、12月の(首脳会談での)合意は依然可能だ」という見方を示した。(c)AFP/Danny KEMP