■仕返しやなどを恐れて訴え出ない学生たち

 ガボンの法律では「序列的に上の立場にある人物」によるセクハラに対する刑罰を定めているし、アリ・ボンゴ・オンディンバ(Ali Bongo Ondimba)大統領もセクハラ問題について「規模が拡大しており、能力のある人々の意欲を損ねている」と非難している。だが、検察を含む当局の情報によると、これまでに成績と引き換えの性的行為をめぐって裁かれた教員は一人としていない。

 ある教員は、学生たちが仕返しや、教員と職員らが共謀していることを恐れていることは分かっているとし「学生らが訴え出ないのは理解できる」と語った。

 ある学部長は、うわさやスキャンダルに紛れてしまい、その規模や実態をつかみ対処することは難しいが、セクハラ問題は「確かに存在する」、「ある学生たちに良い評価を与えたいと思っても、周りがすぐに、その学生たちは教授と寝たのだと考えてしまう」と話した。

 一方で複数の教員によると、学生の方から良い成績と引き換えに性的行為を持ちかけてくることもあると言う。

 学生リーダーのフランク・マトゥンドゥ(Franck Matoundou)さんによると、ガボンでは大学キャンパスの他にも職場などで、性的な圧力やタブーがはびこっており、「女性を利用することは、男性にとって自分の男らしさや社会的成功を誇示する一つの手段となっている」という。

 ガボンの性的不平等への取り組みに詳しいある専門家によると、そうした中でも法律には進化がみられ、また「女性たちは自分たちの権利をいっそう意識するようになり」、闘うようになってきているという。

 昨年はセクハラに関する法律が、法令集に記載されるようになった。姦通の定義も広げられ、男性も含まれるようになった。刑法の改訂でレイプの定義も広がり、また夫を亡くした女性に遺産相続権が認められるようになった。

「努力はまだ必要で、平等にはなっていない。でもこれはガボンに限らず、全世界に言えることだ」「どの社会でも、女性たちは常に軽視されてきた」と専門家は話した。(c)AFP/Caroline CHAUVET