【10月27日 AFP】女子テニスのスター選手、マルチナ・ヒンギス(Martina Hingis、スイス)が26日、現役から完全に引退すると表明した。1990年代に10代でスーパースターになった同選手は、シングルスとダブルス両方で世界ランキング1位になった20年に及ぶ輝かしいキャリアに幕を下ろすことになる。

 過去にはコカインに陽性反応を示すなどし、2度にわたって現役を退いている37歳のヒンギスは同日、現在シンガポールで開催中のWTAツアー選手権(BNP Paribas WTA Finals Singapore 2017)が自身最後の大会となると明かした。

 この日、チャン・ユンジャン(Yung Jan Chan、台湾)と組んだダブルスでアンアレーナ・グローネフェルド(Anna-Lena Groenefeld、ドイツ)/クベタ・ペシュケ(Kveta Peschke、チェコ)組を6-3、6-2で下したヒンギスは試合後、「これが完全な引退になると思う。前はまた戻って来るかもしれないと思いながらやめたけど、今回は違う」と語った。

「今シーズン終了後というのも完璧なタイミングだと思う。すでに後退しているときではなく、頂点に立っているときにやめたいものだからね。これ以上ない終わり方だ」

 スロバキア出身のヒンギスは、まだ16歳だった1997年に全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)のシングルスを制して旋風を巻き起こすと、そこからは通算209週間にわたり世界1位の座に君臨した。

 その活躍は母国の若手も刺激し、当時ジュニアだったロジャー・フェデラー(Roger Federer)を筆頭に、スタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)やベリンダ・ベンチッチ(Belinda Bencic)といった選手たちが、ヒンギスを追いかけて世界の舞台に駆け上がった。

 母メラニー・モリトール(Melanie Molitor)さんがコーチを務めたヒンギスは、グランドスラムのシングルスで通算5度の優勝を果たしていた2003年、けがを理由に22歳の若さで1回目の現役引退を決断。その2年後に復帰を飾ったヒンギスだが、2007年に行われたウィンブルドンの薬物検査で失格となり、再び現役を退いた。

 しかしその後、ダブルスのスペシャリストとして再びコートに戻って来たヒンギスは、女子ダブルスと混合ダブルスで計20個のグランドスラムタイトルを獲得するなど多大なる成功を収め、世界ランキング1位としてキャリアを終えることになっている。(c)AFP/Tristan Lavalette