■「誰もがヒーローになりたがる」

「こうした状況では誰もがヒーローになりたがる。それは良くないことです」と話すのは、受講生の一人で、普段は教師をしているディア・オルダズ(Dia Ordaz)さん(36)だ。

 オルダズさんは、「ガス漏れ、交通の混乱、人々の小競り合い」など危険な要素が現場には数多く存在していると指摘する。しかしその一方で、大勢の人々が徒歩やバイク、自転車で建物の倒壊現場に駆け付けて被災者らを助けるという「驚くべき光景」についても目に涙を浮かべながら説明した。

「気が引けてしまうような恐ろしい状況だ。でも、がれきの下に誰かいると言われたら、それがどこの誰であろうと、これほどたくさんの人間がたった1人の人間を救い出すために駆け付ける。素晴らしいことだ」

 地震発生直後、多数の人々が被災現場に集まり、石や崩れた壁、階段、屋根を取り除くために列を成した。

「残念ながら、全てが助けになったわけではない」「集まった人々によってリスクが発生した事態も目にした。気持ちだけでは救助はできないということを学んでもらう必要がある」とグティエレスさんはAFPに語り、「すでに人命が危険にさらされている。これ以上、その数を増やすわけにはいかない」と続けた。

 20日の時点で救助隊員の大半はメキシコ海兵隊の指揮下に置かれた。それ以降も、イスラエルや米国、日本、スペイン、ドイツなど、さまざまな国から救助隊が現地入りしている。(c)AFP/Jennifer GONZALEZ COVARRUBIAS