【9月10日 CNS】日本国内で中国人が巻き込まれる刑事事件が多発している。殺害や失踪など生命に関わるケースが多く、駐日中国大使館は在日華人に対し、安全防犯意識を強化するとともに、自己保護能力の向上を呼びかけている。

 神奈川県の山林で7月、2体の遺体が発見され、遺体の身元は連絡がつかなくなっていた中国籍の姉妹だと判明したと日本の警察が発表した。福建省(Fujian)から日本に渡っていた姉妹は、殺害容疑で逮捕された30歳前後の日本人の既婚の男と、姉がアルバイトをしていた場所で知り合い、男と姉の間には感情のもつれと金銭トラブルがあったとしている。

 北海道では8月27日、釧路市の海岸で地元の漁師が女性の水死体を発見。女性は、7月23日から日本国内で失踪していた女性教師、危秋洁(Wei Qiujie)さんであることが判明した。日本で一人旅をしていた危さんは7月22日、札幌市のゲストハウスを出てから行方不明になっていた。残された危さんの荷物から、別れを告げる内容の家族あての手紙が発見され、警察は自殺の可能性もあるとみている。

 また、静岡県警は8月29日、静岡県富士宮市北山で中国人留学生の馮如弈(Feng Ruyi)さんの遺体を発見したと発表した。馮さんは湖北省(Hubei)黄岡市(Huanggang)出身で日本に留学しており、馮さんの母親の蔡さんによると、同10日に馮さんとビデオ通話をしたが、4日後の14日には連絡がつかなくなったと話した。現在静岡県警は遺体の解剖を行い、死因を調査している。

 中国人の日本における事件が頻発していることに関して、危さんは旅行中に起きた事件だが、近年の事件はそのほとんどが留学生や研修生の身に起きている。

 日本の法務省の2016年の統計では、合計8万5000人もの中国人研修生が日本で働いている。また、2015年の1年間で失踪した外国人研修生は5803人で、うち3116人が中国人だった。

 日本政府が実施している「技能実習制度」は途上国から最長3年間、日本に渡り、働きながら技能を学ぶという制度。日本が外国人実習生・研修生を受け入れ、途上国へ技術を伝えるための制度だ。しかし近年、日本社会の高齢化の加速や労働力の不足などの影響で、同制度は企業経営者が低賃金の労働力を確保するための温床となっている。

 多くの外国人労働者は、日本へ行けば給料をたくさん支払われ、先進的な技術も学ぶことができると期待して来日する。しかし、日本に着いてみると実際は違っていたことに気づく。一部の実習生らが不当な扱いを受けているほか、危ない現場や、違法な残業などにより過労死するなどの事案が起きている。

 こうした実習生らの窮迫した環境や、命を落とした中国人の姉妹などに対し、中国のインターネット上では哀悼の意を示したり、遺族を慰めたりするコメントが主だが、中には少数だが事実をわい曲して死者を非難したり、さらには日本に行ったから命を落としたなどという「自業自得」と批判したりするコメントも見受けられた。

 健全で温情あふれるはずの社会で、このように死者をもてあそぶようなインターネット上の発言は、世論と良識から糾弾されるべきである。同じ国民の亡くなったひとつの命より、自分がインターネット上でストレスを発散したり、自身の観点をひけらかしたりすることが重要であるはずがない。

 どの国を訪れたとしても、見知らぬ土地では身の安全を脅かすようなことや特異な心理状態に陥ることなど、さまざまな困難に遭遇することは往々にしてある。また、海外ではウィーチャットなどのSNSを利用したり、現地の華人や留学生のサークルに参加したりするなど、積極的に有益な活動に参加してみるのも良い。また現地の風習や文化活動などに参加したり、読書をしたり、運動をするなど充実した時間を過ごすようにすると良い。その国に対する理解も深まるし、孤独を紛らわすこともできる。(c)CNS/JCM/AFPBB News