【8月16日 AFP】白人至上主義者らと反対派との衝突は「双方に非がある」というドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の発言に対して、米プロバスケットボール(NBA)のクリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)に所属するスーパースター、レブロン・ジェームズ(LeBron James)がすぐさま反応し、差別を助長しているのはトランプ大統領だと主張している。

 トランプ大統領の発言直後、ジェームズはツイッター(Twitter)に「憎しみはいつの時代も米国にあった。それは俺たちもわかっているが、ドナルド・トランプは、それをまたはやらせているだけだ!」と書き込んだ。

 米バージニア(Virginia)州のシャーロッツビル(Charlottesville)で起こった今回の事件では、南北戦争(American Civil War)で南部連合(Confederate States of America)を指揮したロバート・E・ リー(Robert E. Lee)将軍の像の撤去をめぐって白人至上主義者が集会を開き、ナチス・ドイツ(Nazi)に感化されたとみられる男が人種差別に反対するデモ隊に車で突っ込んだ結果、女性1人が死亡、19人がけがをした。

 衝突事件について、トランプ大統領は12日、暴力が「各方面」にあったと発言。これが激しく非難されたため、14日には白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(Ku Klux KlanKKK)」とナチスに同調した男を名指しで悪だと呼んだ。

 ところが15日、ニューヨーク(New York)のトランプタワー(Trump Tower)で記者の質問に答えたトランプ大統領は、明らかにいら立った様子で、暴力が起きたのは両方に原因があるという主張に立ち戻った。そして、像の撤去に反対して集まった人のすべてが人種差別主義者というわけではないと言い張った。

 ジェームズは以前から米国の人種問題に対して積極的に発言しており、2016年の大統領選挙では民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏を支持していた。

 今回もジェームズは、12日の時点で「シャーロッツビルの事件が悲しい。これが米国の行く道なのか?」と書き込み、週末の間続いた事件に落胆すると、トランプ大統領の選挙戦のスローガンを持ち出して「これで米国がもう一度偉大になるとでも?」と続けていた。

 自身の知名度を生かして人種差別と闘おうとしているジェームズだが、彼のような富と名声を併せ持つスーパースターであっても、差別主義者からの攻撃の脅威にさらされており、昨シーズンのNBAファイナルを控えた6月には、ロサンゼルス(Los Angeles)の高級住宅街にある自宅に差別的な落書きをされた。

 ジェームズは当時、「米国で憎しみは、特にアフリカ系アメリカ人に対する憎しみは、今も日々の暮らしに生き残っている」とつぶやいていた。(c)AFP