■「後退を防ぐため」の首脳宣言

 今年のG20開催国、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、「(参加国の)意見が一致しない部分に関しては、首脳宣言で意見の不一致について説明がなされている」と述べた。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はメルケル首相に対し、最も困難な問題となった気候温暖化対策で「最善の譲歩策」を見つけたと賛辞を送った。

 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領もG20の譲歩の姿勢を称賛した。同大統領は、首脳宣言は全体を通して気候変動対策で後退を避けつつ「必要不可欠なバランス」を見出したと称賛した。

 しかし、今回が初めてのG20参加となったマクロン大統領は、地球温暖化に関するトランプ大統領の意見を変えることを諦めていないと語り、今後もトランプ大統領の説得に取り組む意向を示した。

 一方、シンクタンク「国際ガバナンス・イノベーション・センター(Centre for International Governance Innovation)」のトーマス・バーンズ(Thomas Bernes)氏は、今回のG20首脳宣言を「見せかけ」と表現した。

 バーンズ氏は、「2009年にロンドン(London)で行われた(G20)首脳会議と比較すると、今回の結果は後退だ。経済危機を防ぐための反保護主義政策という明白なシグナルが曖昧なものになる」と述べ、今回の首脳宣言は、「前に進むため」のものだった従来の宣言とはまったく異なり、「後退を防ぐため」のものになっていると指摘した。(c)AFP/Hui Min Neo and Simon Sturdee