【7月3日 AFP】イタリアが地中海(Mediterranean)を渡ってたどり着く移民らの大量流入に危機感を募らせている。年初から6月末までの到着者は8万3000人超と前年同期から19%増加。「持続できない」状態だとして政府は先週、救助した移民らを自国の港で降ろす外国船の受け入れを停止すると警告した。2日にはフランスやドイツと対応を協議するなど、イタリアの移民危機が欧州連合(EU)の新たな課題として浮上している。

「わが国は途方もない圧力にさらされている」。イタリアのマルコ・ミンニーティ(Marco Minniti)内相は同日の地元日刊紙メッサジェロ(Il Messaggero)のインタビューで、移民受け入れをめぐる現状の深刻さをこう表現した。

 国際移住機関(IOM)のまとめによると、年初から6月29日までに、リビアなどを出発して地中海を渡っている途中に救助された後、イタリアに到着した移民・難民は8万3135人。前年の同じ時期から19%増えており、同じ地中海沿海のギリシャ(9046人)やスペイン(3314人)と比べても圧倒的に多い。死者も2160人余り出ている。

 イタリアの赤十字(Red Cross)は、過密した国内の受け入れ施設は危機的な状態になりつつあると警告。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官も「イタリアで悲劇が起きているのを目の当たりにしている」と述べている。

 イタリア政府は6月28日、外国の救助船を自国の港に受け入れるのを停止する可能性があると宣言。イタリアの駐EU代表は「状態は持続できなくなっている」とEU側に伝え、パオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)首相も現在の状態を続けるのは無理だとして、「見て見ないふり」をするのをやめるよう一部のEU諸国に求める意向を示している。

 ミンニーティ内相とフランス、ドイツの内相、ディミトリス・アブラモプロス(Dimitris Avramopoulos)欧州委員(移民担当)は2日、パリ(Paris)でイタリアの移民危機への「協調した対応」について話し合った。エストニアの首都タリン(Tallinn)で今週開かれるEUの会議の準備もしたもようだ。

 4氏による会合の詳細は明らかになっていないが、ミンニーティ内相はそれに先立つ数時間前、ほかのEU諸国に対して救助船に港を開くよう呼び掛けている。(c)AFP