【6月16日 AFP】フランスの化粧品会社大手「ロレアル(L'Oreal)」は9日、10年以上所有する「ザ・ボディショップ(The Body Shop)」のブラジルの会社への売却を進めていることを発表した。

 1976年に創立されたブラジルの「ナチュラ・コスメティコス(Natura Cosmeticos)」は、ナチュラルな化粧品を強みとするメーカー。今回、イギリスを拠点とする小売会社「ザ・ボディショップ」の買収に対して10億ユーロ(約1229億5000万円)を確定入札したと「ロレアル」は発表した。

「ロレアル」はこの数か月「ザ・ボディショップ」の売却に向けて動いており、CEOのジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)は「ナチュラ・コスメティコスは『ザ・ボディショップ』のDNAを引き継ぐのにもっともふさわしい所有者」であると語る。売却は下半期中に最終決定されるとみられる。

「ナチュラ・コスメティコス」は「ザ・ボディショップ」を、60ヶ国3,000店で展開される「アイコニックな」ブラントとみなし、共同会長のギリエルム・レアル(Guilherme Leal)は、「ナチュラ・コスメティコスとザ・ボディショップはつねに業界内で並行して展開してきたが今日、その2つの道が交わった」と声明で発表した。

 アニータ・ロディック(Anita Roddick)によって創業された「ザ・ボディショップ」は、化粧品に倫理的な視点を取り入れ、大きな成長を見せた。動物試験を除外し、社会問題や環境問題に関するキャンペーンでも広く知られる。「ロレアル」はその成功の絶頂期であった2006年に9億4000万ユーロ(約1156億120万円)で買収。だがその後、「ザ・ボディショップ」の実績は下降をたどり、昨年は売上が4.8%下降し、利幅は3.7%まで落ちた。「ロレアル」が抱える他ブランドの2桁台の利益と比較しても、はるかに下回る。

「ナチュラ・コスメティコス」は「環境と社会をより良くする」という目的を掲げ、ラテンアメリカ7ヶ国とフランスで展開し、ブラジルの化粧品・香水業界ではトップを誇る。(c)AFP