【6月15日 東方新報】中国では、タバコに関連した疾病で死亡する人が毎年100万人を超える。もし有効な措置が取られなければ、2030年にはこの数字が毎年200万人、2050年には300万人まで増えると言われている。

 現在、中国での喫煙者は3億人と言われており、喫煙率は27.7%。世界保健機関(WHO)駐中国代表処の技術官吏ケルビン・カウ(Kelvin Khow)氏は、5月27日に北京(Beijing)で開催された「まず医者から止めよう」という禁煙イベントで、タバコが健康に対して危害を及ぼすことを強く説いた。

 参加した中国工程院(Academician of China Engineering Academy)院士、中日友好医院(China-Japan Friendship Hospital)の王辰(Wang Chen)院長は、「社会における様々な人達に対して、医者は最大の潜在力をもって患者にタバコを制止させるための『能力』を持っている。なぜなら医者の健康方面におけるアドバイスであれば、いかなる人間でも信服するからだ。にもかかわらず自国の医者は、患者に対しての禁煙に介入する行動力に欠ける」と語った。

 2009年の中国の調査データ(31省、977院、医師3万9248人が参加)によると、17%の医者が患者の喫煙状況をほぼ聞かない、あるいは主導的にあまり聞かないと回答。42%の医者が、病院にそもそも患者の喫煙状況をヒアリングしなければならないという規定が無い、という回答だった。

 中日友好医院は、2016年12月より北京(Beijing)市朝陽区(Chaoyang District)の19か所の病院から「まず医者からやめよう」のキャンペーンを展開し、かつ医師の喫煙状況についても調査を行った。今回、調査には計8219人の医師が参加し、その喫煙率は4.89%。そのうち40%の医師が中度および重度の喫煙者で、しかもその53%に禁煙する意思がないと回答したのだ。

 健康知識の伝播者である医師が「自分が手本のように」タバコを吸いだしてしまったら、患者に対する「喫煙は健康を損なう」というこの言葉の説得力がどれほど失われてしまうことか。同病院に勤務する李天慶(Li Tianqing)氏は26年の喫煙歴があったが様々な方法で克服し、かつては1日3箱吸っていたタバコもここ2年で吸わなくなった。禁煙後の現在、李氏のコレステロールなどの高脂血症の各項目基準は、すでに健康な人と同レベルまで回復している。同氏は喫煙者医師らが禁煙チームのような団体にどんどん加わって、皆で一緒に継続し、適した方法などを探していけば必ず禁煙は成功すると語る。

 現在、中国では喫煙者およそ3億人のうち青少年が4000万人を超えていると言われ、その喫煙率も年々増加しているだけでなく、低年齢化の傾向にあるという。(c)東方新報/AFPBB News