【6月5日 AFP】総選挙が間近に迫る英首都ロンドン(London)で、19歳の若きIT起業家ルイ・ナイトウェブ(Louis Knight-Webb)氏が、国内の選挙運動でフェイスブック(Facebook)の「ターゲティング広告」がどのように活用されているか、その実態解明に向けた活動に取り組んでいる。

 ターゲティング広告は、閲覧履歴などからユーザーの関心に近い広告を配信するというもので、これが民主主義にゆがみをもたらしているという懸念も広がっている。

 ナイトウェブ氏は、インターネットユーザー向けの広告を監視するウェブブラウザー用プラグインを開発。これまでに何千人もがこのプラグインをダウンロードした。

 同氏の狙いは、政治関連の「非公開広告」、つまりインターネットのデータを基に、極度に細分化された特定層だけに絞り込んで表示させる選挙メッセージの活用動向を把握することにある。 

 国会議事堂のそばにある事務所でAFPの取材に応じたナイトウェブ氏は、「皆が気になる問題であることは間違いない」「自分たちがどのように操作されているのか、理解しようとしている人は大勢いる」と指摘した。

 今年4月、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相が解散総選挙の前倒しを発表したことを受けて、ナイトウェブ氏は「フー・ターゲッツ・ミー?(Who Targets Me?、私をターゲットにしているのは誰?の意)」という名を冠したこのプログラムを開発。さらにビジネスコンサルタントのサム・ジェファーズ(Sam Jeffers)氏と共に、同名の組織を設立した。

 ナイトウェブ氏のプラグインは、今月8日に投票を控えた全650選挙区のうち630選挙区を網羅しており、既に6500人以上がダウンロードしたという。

 ナイトウェブ氏は自身の活動が、有権者が「自分が受け取る広告に疑いの目を向け、自分だけの居場所からほんの少し外に出て行って、他の国民が目の当たりにしているものを理解する」きっかけになればと期待している。