■英EU離脱派や米トランプ陣営も活用、「マイクロターゲティング」

 特定層に限定したネット広告を掲載するこの「マイクロターゲティング」と呼ばれる手法は、昨年行われた英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票では離脱派が、また米大統領選ではドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営が活用して注目が集まり、以後厳しい目が向けられている。

 離脱派団体「リーブEU(Leave.EU)」で運動を展開したジェリー・ガンスター(Gerry Gunster)氏は、フェイスブックには形勢を一変させる「ゲームチェンジャー」の役割があると評価。

 ガンスター氏は英BBCの調査報道番組「パノラマ(Panorama)」でこう語っている。「フェイスブックに対し、英国の特定域に住むある漁業従事者向けに徹底したマイクロターゲティングを行いたいと依頼することができる。これによりこの特定の有権者は、離脱に票を投じれば、漁業規制の定め方も変えていけるという情報を集中的に受け取ることになる」

「全く同じ手法を、勤務先の工場が閉鎖され生活苦にあえぐ中部の有権者に対して活用することも可能だ。つまりフェイスブック経由で、特定のメッセージを他の誰の目にも触れずに送信することができる」

 英規制当局は、この最新のマイクロターゲティング技術への対応に苦慮しており、特にフェイスブックのユーザー全員に見える従来の広告とは一線を画するこの非公開広告の監視に頭を悩ませている。ナイトウェブ氏も、規制当局の目には「われわれが目にしているものが見えない」と危惧する。