【5月30日 AFP】オーストラリアで、小児性犯罪で有罪となった過去がある人物のパスポートを無効にするという、同国政府によれば「世界初」となる法律の導入が検討されている。

 法案は今月にも国会に提出される予定で、成立すれば海外における児童買春の取り締まりの一環として、小児性犯罪者として登録された人物は出国を禁止される。

 ジュリー・ビショップ(Julie Bishop)外相はこの法案について、「新法により、小児性犯罪者として登録された人物がオーストラリアを出国すること、またはパスポートを所持することは禁止される」と説明し、「昨年だけでおよそ800人の小児性犯罪者が海外へ渡航した」と明らかにした。

 海外へと渡る小児性犯罪者はアジアの開発途上国へ向かうことが多く、ビショップ外相によると、その多くが警察当局に旅行を申告する義務を怠っていたという。また半数は再犯の恐れが比較的高い、もしくは極めて高いと考えられていた人物だったという。

 今回の動きは、オーストラリア人による海外での幼児虐待事件が相次いで明るみに出たことを受けたもの。昨年にはインドネシアのリゾートであるバリ(Bali)島で少女11人に性的虐待を加えた罪で、ロバート・エリス(Robert Ellis)被告に有罪判決が下されている。

 マイケル・キーナン(Michael Keenan)司法相の推計によると、刑に服した後も監視対象となっている、およそ2万人のパスポートが失効することになるという。(c)AFP