【5月24日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は23日、国際宇宙ステーション(ISS)での電力供給に必要な設備が故障したため「緊急の」船外活動を行ったことを明らかにした。米国の宇宙飛行士2人による作業は無事に終了した。

 NASAのコメンテーター、ロブ・ネビアス(Rob Navias)氏は、ISS初の女性コマンダー、ペギー・ウィットソン(Peggy Whitson)飛行士(57)とフライトエンジニアのジャック・フィッシャー(Jack Fischer)飛行士(43)の2人による約2時間の緊急船外活動について「ここに成功を宣言する」と述べた。

 今回の船外活動は「多重化復調器(MDM)」ユニットとして知られるコンピューター継電器ボックスが20日に突然機能を停止したために行われた。

 小型の電子レンジほどの大きさで、地球上での重さが約23キロのMDMは、ISSに搭載されている太陽電池パドル、発電機、ロボットアームなどの操作を助ける装置だ。放熱器と冷却ループの動作制御にも関わっている。

 ISSにはMDMが2台あるため、1台が故障しても乗組員の生命が危険にさらされたり、ISSが運用停止に追い込まれたりすることはない。

 それでも、NASA報道官は23日の任務を「緊急の非常時船外活動」と表現し、故障したMDMユニットを早急に交換することを「最優先事項」と位置付けた。

 MDMの交換作業はウィットソン飛行士が主導し、2時間46分で終わった。これは6時間半に及ぶ通常の船外活動よりはるかに短い。作業の成功を受けて、コメンテーターのネビアス氏は「これで正常なMDMが2台になった」とした。

 一方、自身のキャリアで2回目となる船外活動を行ったフィッシャー飛行士は、今後の船外活動のための無線通信機能を高めるためのアンテナ1組を米国実験棟「デスティニー(Destiny)」に設置した。