【5月24日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は23日夜、南部ミンダナオ(Mindanao)島やその周辺の地域全域に戒厳令を布告した。同島のマラウィ(Marawi)では同日、治安部隊とイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)系の武装勢力との間で戦闘が起き、複数の死者が出ていた。大統領は24日、この戒厳令は1年続くこともあり得ると述べ、フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)独裁政権が出した戒厳令と似たものになる可能性を警告した。

 フィリピンの憲法では、反乱や侵略があった場合に戒厳令を最長60日間適用できるとしている。エルネスト・アベリャ(Ernesto Abella)大統領報道官も23日、今回の戒厳令の期間は60日間だと説明していた。

 ところが、ドゥテルテ大統領はロシア訪問を切り上げてフィリピンに帰国する直前に撮影された動画で、戒厳令は1年続く可能性もあると警告。国民は1986年の「ピープルパワー(People Power)革命」で打倒されるまで20年間続いたマルコス政権下で戒厳令を経験していると指摘した上で、「マルコス大統領の措置と何ら変わらないものになるかもしれない」と述べた。

 大統領はテロに対して「厳しく」臨むと言明し、これは昨年の大統領選での公約でもあると語った。

 ミンダナオ島一帯はフィリピンの国土の約3分の1を占め、約2000万人が住む。(c)AFP