【5月16日 CNS】エベレスト(Everest)のチベット側ベースキャンプで前週、清掃活動が行われた。今回の清掃は中国登山協会(Chinese Mountaineering Association)とチベット自治区(Tibet Autonomous Region)体育局によって開催され、中国国内外の登山家やシェルパ、エベレストの北に居住する定日(Ting Ri)県民、ボランティアなど100名近くが参加した。

 米国、イタリア、スペイン、英国、スイスなど20か国の登山隊員もボランティアとして清掃部隊に合流した。

 チベット自治区体育局の尼瑪次仁(Ciren Nima)副局長は、この清掃活動をかつての公益活動から、今後は中国政府主導のもとで国際的な常識へと進化させたいと語った。

 6日から始まったこの清掃活動では10日までに4トン近いゴミが集まった。特にゴミが多い区域である海抜5200mのキャンプ場から海抜6500mの区間だけで1トンものゴミが回収され、まずはヤクを使ってゴミの分類をしている大キャンプ場まで運ばせ、そこからトラックやバイク、ヤクなどの手段で近隣都市のゴミ処理場へ運んだ。

 ここ10数年は、登山者の急増と共に、山頂付近の環境問題も悪化の一途にあった。

 1997年春、チベット自治区登山協会がエベレストの北登山口で第1回清掃活動を発起し、1960~70年代頃のものと思われる酸素ボンベなどの廃棄物を回収した。活動の模様はその年日本で行われた気候変動枠組条約締約国会議にて世界の注目を浴びた。

 1997年以降、公益団体が継続的に清掃活動をしてきたが、参加者のほとんどは民間人だった。今回の清掃活動は、専門の登山家の指導のもと大規模に行われた。尼玛次仁副局長は「こうした活動は今後各方面の力を合わせ、規律化、習慣化し、毎年開催していくべき」だと述べた。清掃活動が比較的難しい6500m以上の水源付近のゴミを減らしていくために「来年から清掃活動区域を6500m以上に広げる。清掃隊でありながら救援隊の役目も果たす『環境保護+救援』モデルを模索している。それを実現するためには国際的に、共同で進めていく必要がある」と語った。今後、登山者には下山する途中で一定のゴミを持ち帰るよう義務付けるなど、「足跡以外、何も残さない」をエベレスト環境保護の合言葉としている。

 今年4月から、正式に本キャンプ場への送電が始まり、登山客に快適なサービスが提供できるだけでなく、ディーゼル発電が生態環境へ及ぼしていた悪影響も軽減できるようになり、国内外の登山者から好評を得ている。(c)CNS/JCM/AFPBB News