【5月9日 AFP】中国スーパーリーグ(1部)、上海上港(Shanghai SIPG)のフッキ(Hulk)は7日、「中国の国民全員」に好意と尊敬の気持ちを抱いていると強調し、先日の試合中に相手チームのアシスタントコーチに対して人種差別的な意図で暴行に及んだとされる事実を否定した。

 上海上港は6日のリーグ戦で貴州智誠(Guizhou Zhicheng)に3-0で勝利したが、相手チームの黎兵(Bing Li、リ・ビン)監督は、ハーフタイム中にフッキがアシスタントコーチを殴ったと主張した。しかし、豊富な資金力を持つ同リーグで高額年俸を誇る外国人選手の一人であるフッキは、暴力行為について全面的に否定。クラブ側も事件は「起きていなかった」と反論している。

 フッキは中国版ツイッター(Twitter)の「新浪微博(Sina Weibo)」で、「残念ながら、彼らは私のイメージを汚そうと画策している」とすると、「相手チームの監督は、私が攻撃したと訴えているが、彼はどこでそれを目撃した?私はいかなる暴力行為もはたらいていなかった!」と英文で訴えた。

「私には明確な良心がある。神がそれをご存じだ。私は最も愛することをしたいだけ。それはサッカーをすることだ!中国ではとても満足している。私は中国の国民全員が好きで尊敬している」

 昨年6月にロシア・プレミアリーグのFCゼニト(FC Zenit)から移籍金5500万ユーロ(約68億円)で加入したフッキは、アンドレ・ビラス・ボアス(Andre Villas-Boas)監督が率いる上海上港でチームトップとなる公式戦8得点を記録している。

 問題が起きたとされる試合後の会見で、貴州智誠の黎監督はアシスタントコーチに対する人種差別行為があったと主張し、「外国人選手はわれわれのサッカーのレベルを上げるためにここにいる。フッキはすごい技術を持っているが、中国人を軽蔑してはならない」と報道陣にコメント。さらにソーシャルメディアでも、「突然アシスタントコーチの前頭部に拳を振り下ろし、彼を殴り倒した」と投稿し、騒動を拡大させた。

 これに対して上海上港は、防犯カメラでは一切の騒動を確認していないとしたうえで、黎監督らが「不適切な発言をし、外国人選手と中国人選手の対立をあおっている」と批判した。

 一方、貴州智誠は「証拠の有無は依然として不明である」として、中国サッカー界の発展という「大きな視野を見据える」よう両者にうながした。(c)AFP