■課税と警告表示で合法性を明確化

 スイスメディアによると、同国での合法的なマリフアナの売り上げは現在、年間約1億スイスフラン(約112億円)に上るという。

 2月に保健当局がTHC含有量の少ないマリフアナに対し、たばこと同様に税金を課し健康警告表示も義務付けたことで、合法マリフアナの位置付けが明確となり、これ以降売り上げが急増した。

 ジュネーブ(Geneva)に住むアジザさん(37)は、自宅近くの店が合法マリフアナを販売していることについ数週間前に気付いた。「この製品はいいわね」。それまで好んで吸っていた非合法製品のTHC含有量が増えていることにちょうど懸念を募らせていた。「この大麻は前のと同じくらいリラックスできるけど、ハイにならないから、色々なことを片づけたり子どもたちと遊んだりできるの」

 モノさんが店で販売するマリフアナをまとめて仕入れているスイス北部の生産業者「カナスイス(KannaSwiss)」でも売り上げが爆発的に増加している。

 つい最近カナダがウルグアイに続いて世界で2番目に嗜好(しこう)用マリフアナを完全合法化する法案を発表したが、カナスイスの共同創業者コルソ・セラ・ディ・カッサーノ(Corso Serra di Cassano)氏は、合法マリフアナにとって「スイスは一種のオアシスになりつつある」と言う。カナスイスは屋外の畑、約1万平方メートルを所有している他、800平方メートルの屋内栽培場をまもなく3倍に拡大する計画だ。

 一方、「ドクター・グリーン」のモノさんは問題が起きることのないよう、時間をかけてマリフアナの使い方を顧客に説明しているという。警察に疑われると、マリフアナのTHC含有量検査を要求され、1%を超えていた場合には違法となり罰金が科せられる。

 モノさんは客の男性に節度をもってマリフアナを吸い、レシートをなくさないようにアドバイスした。さらにプラスチック容器のシールが破れていない限り、その中身の商品が合法なものだと保証されることも指摘した。

 こうしてマリフアナ・ビジネスは盛況だが、カナスイスのカッサーノ氏によると合法マリフアナに対する規制は「開拓時代のようなものだ」で、いまだ不十分だという。厳格な規制がないと、品質の劣る商品や健康に有害な大麻草が市場に出回る可能性があり、また不誠実な販売業者が非合法マリフアナと自社製品をまぜることもあり得ると懸念している。「私たちは(このビジネスを)長く続けていきたい。だが不正を行ったり、マリフアナを丁寧に扱わなかったりすれば、それほど長く続かないと思う」とカッサーノ氏は語った。(c)AFP/Nina LARSON