【4月10日 AFP】フィリピンの控訴裁は10日、歓楽街でトランスジェンダー(性別越境者)のフィリピン人女性を殺害し、有罪判決を受けた米海兵隊員の上訴を棄却し、下級審の判決を支持する決定を下した。

 米海兵隊員のジョセフ・スコット・ペンバートン(Joseph Scott Pemberton)被告は2014年、フィリピン北部の港湾都市オロンガポ(Olongapo)付近で行われた米比合同軍事演習の後、バーで知り合ったトランスジェンダーのフィリピン人女性、ジェニファー・ロード(Jennifer Laude)さんをモーテルで殺害した。翌年に有罪判決を言い渡され、これを不服として上訴していた。

 ペンバートン被告はロードさんに平手打ちされたとして正当防衛を主張したが、フィリピンの控訴裁はこの主張を「真実ではなく想像」にすぎず「安易にでっち上げられたもの」だとして退けた。またペンバートン被告の殺害動機について、「ロードさんが女性の格好をしていたことに激怒した」こと以外にないと断言した。

 下級裁の公判で、ペンバートン被告はロードさんと性交渉を行うことで合意したが、その後ロードさんに男性器があることを知って、酔っていた被告が激怒したことが明らかになっている。

 ペンバートン被告は6年から10年の禁錮刑を言い渡されており、現在マニラ(Manila)にあるフィリピン軍司令部の監房に拘束されている。(c)AFP