【3月21日 AFP】オーストラリアに生息するジョウゴグモの致死性の毒に含まれるたんぱく質について、脳卒中に起因する脳のダメージを最小限に抑えられる可能性があるとする研究論文が、21日付の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

 豪クイーンズランド大学(University of Queensland)とモナシュ大学(Monash University)の科学者らが行った今回の調査では、クイーンズランド州沖のフレーザー島(Fraser Island)で世界でもトップクラスの危険な毒をもつジョウゴグモ3匹を捕獲し、クモの牙にあたる鋏角(きょうかく)に電流を通して筋肉を収縮させ毒を抽出した。

 研究チームの主任でクイーンズランド大学教授のグレン・キング(Glenn King)氏はAFPに対し、「われわれが発見した低分子たんぱく質のHi1aが、脳卒中後の脳損傷の主要な推進要因となる酸感受性イオンチャンネルを遮断する」ことが、マウスを使った実験によって判明したと述べた。

「脳卒中に起因する脳へのダメージを最小限にする方法を初めて発見したと確信している」とキング氏は述べ、低分子たんぱく質のHi1aが将来的に治療法の確立につながるとして大きな期待を寄せている。

 脳卒中による死者は世界で毎年600万人、不可逆的な後遺症を患っている生存者は500万人に上る。(c)AFP