【3月14日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は13日、ロシア陸上界の組織的なドーピングを裏で取り仕切っていたとされるセルゲイ・ポルトゥガロフ(Sergei Portugalov)医師に対し、永久資格停止処分を科したと発表した。

 スイス・ローザンヌ(Lausanne)に本部を置くCASは声明で、ポルトゥガロフ医師について、選手に禁止薬物を供給したことにより、2017年3月10日から「永久期間の資格停止とする」と断罪した。

 CASはまた、ロシア陸上競技連盟(ARAF)の医療委員会で責任者を務めていたポルトゥガロフ医師が、禁止薬物の所持や不正取引、そして密売など複数項目において、国際陸上競技連盟(IAAF)の反ドーピング規則に違反していたことが判明したと述べた。

 世界反ドーピング機関(WADA)は2015年に発表した報告書の中で、ロシア陸上界にまん延していたドーピングで重要な役割を果たしていたことが発覚したとして、ポルトゥガロフ医師が同国のいかなるスポーツにも一切関与しないようにすることを勧告していた。

 WADAはさらに同医師が「勝率のために選手の陽性反応を積極的に隠蔽(いんぺい)していた」としたうえで、ドーピングプログラムの管理に加え、「自らも選手に薬を投与していた」と述べた。

 2015年11月に発表されたWADAの報告書で国家ぐるみのドーピングの証拠が明らかにされて以降、ロシアはリオデジャネイロ五輪を含め、国際陸上大会への参加を禁止されている。

 一方、陸上界を統括するIAAFは先月、ロシア選手が国際大会に出場するために設けられた「例外的な適格条件」を満たしたとして、女子棒高跳びのアンジェリカ・シドロワ(Anzhelika Sidorova)、女子短距離のクリスティーナ・シフコワ(Kristina Sivkova)、男子ハンマー投げのアレクセイ・ソキルスキー(Aleksei Sokirskii)のロシア選手3人を潔白であると判断し、中立的立場での国際大会への出場を許可している。(c)AFP