【3月13日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が新たに出した難民とイスラム圏6か国の国民の入国を制限する大統領令に対して、米国の外交政策専門家ら130人余りが非難する声明を発表した。最初の大統領令と同様に米国の安全保障や国益を損なうと懸念を示している。

 10日付のこの声明はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に言及し、新大統領令は「ISIS(ISの別称)の被害者やISと戦っている人を含むイスラム教徒に対して、米国はイスラムと戦争状態にあるという誤った主張、プロパガンダを強化するメッセージを送ってしまう」と指摘。

「反対にイスラム教徒の難民や渡航者を積極的に受け入れれば、テロリストの欺瞞(ぎまん)を暴き、ゆがんだ考えに対抗できる」と訴えている。

 さらに、新大統領令について「大勢の難民の受け入れに苦慮している同盟国の安定を支援しないことで、米国が世界でリーダーシップを発揮する力を弱め、米国の国家安全保障上の利益を危うくしている」と批判している。

 声明には元米政府当局者や専門家ら134人が署名。マドレーン・オルブライト(Madeleine Albright)元国務長官やジャネット・ナポリターノ(Janet Napolitano)元国土安全保障長官、スーザン・ライス(Susan Rice)元大統領補佐官ら民主党政権に仕えた人が大半を占めるが、共和党政権の元幹部らも加わっている。

 トランプ大統領が6日に署名した新たな大統領令は、すべての難民の受け入れを120日間停止するほか、シリア、イラン、リビア、ソマリア、イエメン、スーダンというイスラム教徒が多数派を占める6か国の国民に対する新規のビザ(査証)発給を90日間凍結する内容。(c)AFP