【3月11日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は10日、2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)の大会組織委員会で会長を務めるロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相について、FIFA理事選の出馬資格を認めないという判断を下した。ロシアの組織的なドーピング問題に関与した疑惑を持たれているムトコ氏は、4月に行われるFIFA総会の理事選で欧州枠の候補に挙がっていた。

 2009年からFIFAのトップ人事である理事を務めていた58歳のムトコ氏について、FIFAは声明で「副首相という立場から」再選を認めないと公表。「政治的中立と政治介入の防止」という原則に立ち、同組織のガバナンス委員会が、ムトコ氏を「不適格」とみなした。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の盟友であるムトコ氏は、FIFAの審査委員会が下した今回の判断に異議を唱えない意向を示し、国営タス通信(TASS)に対して、「政治的中立が求められるため、公務員や各国政府の代表者は、すべての機関で要職には立候補しない。これは組織の権利だ」とコメントした。

 FIFAの倫理規定では、サッカー関係の問題に政治介入が行われることを禁じており、政府の管理下に置かれていると判断された各連盟に対して、過去に資格停止処分が科された例もある。

 2014年のソチ冬季五輪や2018年W杯ロシア大会など、同国がさまざまな国際大会を開催している時期に今回の判断が下されたことは、ムトコ氏にとって新たな打撃となっている。

 ムトコ氏は2016年のリオデジャネイロ五輪でも、母国が「国家ぐるみ」のドーピングを指摘された影響により参加を禁じられていた。しかし、FIFAの情報筋によれば、今回の決定はドーピングスキャンダルとは無関係としている。

 プーチン大統領は昨年10月、ロシアスポーツ界でドーピングが横行していた問題が物議を醸すなか、ムトコ氏を副首相に昇進させていた。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU