【2月22日 AFP】イングランド5部のサットン・ユナイテッド(Sutton United)で控えGKを務め、アマチュアクラブの「ぽっちゃりキーパー」としてメディアの注目を集めていたウェイン・ショー(Wayne Shaw)が21日、クラブから解雇されたことが明らかになった。

 アーセナル(Arsenal)と対戦した20日のFAカップ(FA Cup 2016-17)で、試合中のベンチでパイをほおばるショーの姿がカメラにとらえられていたが、これが賭けの胴元と申し合わせた「やらせ」との疑惑が持たれている。

 ブックメーカーはこの試合で「ショーがパイを食べている瞬間がカメラに映る」ことに9倍のオッズをつけ、ベットを呼び掛けていた。そしてショーが試合後、英メディアに「食べる方に賭けた人はいただろうね。選手が賭ける行為は認められてないが、知り合いやファンの中には(賭けた人が)いると思う」と語ったことで、賭けの存在を事前に把握し、友人を勝たせるためにパイを口にしたのではないかとの疑いが浮上した。

 ショーは「ちょっとしたジョークのつもりだった。交代は使い切って、俺たちは0-2で負けていた。だから話題を提供しようと思ったのさ。記念になるし、試合を振り返ったときにそんなこともあったなって言えるだろう。チケット代も取り戻せる」と話していた。

 この発言が波紋を呼び、英サッカー協会(FA)と賭博委員会(Gambling Commission)はそれぞれ調査を開始。ショーはパイを食べたのは空腹だったからと慌てて言い訳をしたものの、クラブは解雇する決断を下し、笑顔がトレードマークの同選手は、この知らせを受けて電話口で涙を流したという。ショーの友人でもあるというサットンのポール・ドズウェル(Paul Doswell)監督は「非常に残念だが、彼はクラブを去った。間違いを犯したんだ。手痛い間違いをね。電話口で泣き崩れていたよ」と明かした。

 FAは「協会の賭けに関する規則への違反があったか」を、賭博委員会は、問題のブックメーカーが「許可証に記載されている『誠実な業務』を遂行していたか」を調査しているという。また、この試合では問題のブックメーカーが、サットンのユニホームの胸スポンサーになっていたことも不審な点として取り上げられている。

 ショーは現在46歳で、プレミアリーグのサウサンプトン(Southampton FC)のユースチームでは、イングランドサッカー界を代表する選手の一人でもあるアラン・シアラー(Alan Shearer)氏とチームメートだった。以前にも、体形をばかにされたことに腹を立てて観客席によじ登り、クラブから解雇された経験がある。

 サットンの会長を務めるブルース・エリオット(Bruce Elliott)氏は、一躍有名になったことでショーが舞い上がっているのではないかと話し、「新聞に何度も取り上げられて、そして有名になったことで少し頭がやられてしまっているんだろう。しかしわれわれがすぐに彼を現実に戻すよ。心配ない」と話していた。(c)AFP/Pirate IRWIN