【2月14日 AFP】アルペンスキー世界選手権(FIS Alpine World Ski Championships 2017)は13日、スイス・サンモリッツ(St. Moritz)で男子複合が行われ、スイスの伏兵ルカ・エルニ(Luca Aerni)が前回王者のマルセル・ヒルシャー(Marcel Hirscher、オーストリア)を僅差で振り切り、金メダルを獲得した。

 23歳のエルニは前半の滑降で30位に終わり、タイムで約0.06秒、距離にして1メートル68センチ遅ければカットラインに届かないところだった。しかし、後半の回転で曲芸的な滑りをみせて合計2分26秒33を記録し、滑降でつけられた首位との2.61秒差を逆転した。

 開催国のスイス勢では、滑降で28位だったヒルシャーを0.01秒差で抑えたエルニに続き、マウロ・カビエツェル(Mauro Caviezel)も2位と0.05秒差の銅メダルに輝いた。

 12日に複合出場が決まったばかりだったエルニは、「全員がフィニッシュするまでの最後の45分間は、本当に緊張した」とすると、「ただ、ほかの選手が滑るのを見守りながら祈るしかなかった。回転で良い滑りができた手応えはあったけど、複合は何が起きるか分からない。自分が金メダルだと確信するまで、本当に長かったよ」と明かした。

 滑降でトップから1.18秒差の好位置につけたジャスティン・ムリジエ(Justin Murisier)とカルロ・ヤンカ(Carlo Janka)を合わせたスイス勢4人の中で、最も期待薄で、W杯でもこれまでの4シーズンで一度も表彰台を経験していなかったエルニ。しかし、斜面に太陽が照りつけて雪が解ける中、回転ではまっさらなコースを1番目に滑走し、その恩恵を受けたかたちとなった。

 6位でフィニッシュしたムリジエに続きユンカも7位につけるなど、この日のスイスは開催国として好成績に沸いた。(c)AFP/Luke PHILLIPS