■食べ物がない

 さらにサヌアでは給料が未払いとなっている人々がいる。昨年9月、アブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansour Hadi)暫定大統領が、首都サヌアにあった中央銀行を、暫定政府が拠点を置く南部の港湾都市アデン(Aden)に移転すると決定したからだ。このため反政府武装勢力はサヌアに独自政権を樹立したものの、公務員に給料を払えていない。

 現地の児童保護団体「Seyaj」のアフメド・クラシ(Ahmed al-Qurashi)代表は「特に首都の公務員への給料の支払いが滞って以降、子どもの物乞いの数が急増している」と語った。

 国連のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)緊急援助調整官(人道問題担当国連事務次長)は先月、即座に行動を起こさなければイエメンは今年、大規模な食糧不足に直面する恐れがあると警鐘を鳴らした。

 貧しいイエメンでは内戦開始前から2700万人がまん延する食糧不足に苦しんでいたが、今では数百万人が食糧支援を必要とするほど飢餓がいっそう深刻化している。また国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によれば、イエメンの子ども約220万人が急性栄養失調に陥っている。

 サヌアで働く小児科医のアフメド・ユスフ(Ahmed Yusuf)さんは「急に栄養失調が出現し、それから増え続けている。政府も非政府組織(NGO)もこの大惨事に対処する解決策を打ち出すことができずにいる」と語った。「子どもたちは放置され、一人きりで自分の運命を受け止めている」

(c)AFP/Jamil Nasser