【2月11日 AFP】(訂正)スポーツ仲裁裁判所(CAS)は10日、ドーピングによりロシアのマリア・サビノワ(Mariya Savinova)のロンドン五輪陸上女子800メートルでの金メダルを剥奪し、2019年までの資格停止処分を科すと発表した。

 ロシア陸上へのイメージに対する新たな打撃により、リオデジャネイロ五輪の同種目で金メダルを獲得した南アフリカのキャスター・セメンヤ(Caster Semenya)へ、ロンドン五輪のタイトルが授与されることになる。

 CASは、2010年の陸上欧州選手権(European Championships in Athletics 2010)の前から2013年の第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)にかけて、サビノワがドーピングに関与した「明らかな証拠」があったとしている。

 サビノワに対する資格停止処分は2015年8月24日にさかのぼって開始される。CASは、2010年7月26日から2013年8月19日までに獲得したすべてのタイトルが剥奪されるとしている。これにより、サビノワはロンドン五輪での金メダルに加え、2010年欧州選手権や2011年世界陸上での金メダル、2013年世界陸上の銀メダルも剥奪されることになる。

 サビノワのコーチはロシア国営タス通信(TASS)に対し、同選手は「感情的に落ち込んで」おり、異議申し立てはしないという。

 2013年以降はレースに出場していない31歳のサビノワは、世界反ドーピング機関(WADA)の調査書が永久追放を求めたロシア人選手5人のうちの一人だった。

 サビノワは2014年にドイツのテレビ局が放映したロシアのドーピングに関するドキュメンタリー番組に登場し、禁止薬物の摂取を認めているようだった。

 ドーピングを告発したユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)が隠し撮りした映像の中でサビノワは、禁止されているオキサンドロロン(oxandrolone)を摂取したことを明かし、「それが私たちの制度で、ロシアはドーピングでしかうまく機能しない」と、ドーピングをするより仕方がなかったと語っている。

 またサビノワはその映像の中で、夫で1500メートル走者のアレクセイ・ファルサノフ(Aleksey Farsonov)が、モスクワ(Moscow)の「ドーピング研究所としっかりとしたコネを持っている」とも語っていた。(c)AFP